職場の方から資産形成についての質問を受けることがありますが、いろんな情報を混同
してしまっているケースが多いですね。
「よく勉強しているなあ」と感心する一方で、ある部分に盲目的に固執しているような
ところも見受けられます。
最近、とても象徴的な出来事があったのでご紹介します。
【ご相談内容】
「企業型確定拠出年金」と「従業員持ち株会」どちらが良いか
相談者:40代半ばの同僚
(資産状況)
・節約して、ほんの少し余裕ができたので資産形成に使いたい。
・明確な目的はないが、とりあえず老後資金(孫への出費も含む)
・企業型確定拠出年金の内容は覚えていない。マッチング拠出していない。
・つみたてNISAは取引銀行で勧められて始めたばかり。
・個別株は優待目的で数銘柄保有(最低単元)している。
(基本姿勢)
・増やしたいけど減るのは嫌。
・預金だと将来的にインフレになったら困る。
・子供(孫)に少しでも遺せたらいいな。
【結論】
私がご提案したのは、
「企業型確定拠出年金のマッチング拠出を選択すべき」です。
・現時点、近い将来の資金確保に問題なく、まだ見ぬ孫への出費であること。
・現時点で保有している金融資産は受動的なきっかけで投資に興味がある訳ではないこ
と。
・持株会の奨励金5%は魅力的だけれども、個別株式のボラティリティは高いというこ
と。
・企業型確定拠出年金の税制優遇はとても、とても、とても有利であるということ。
【結果】
そして相談者の選択は
「従業員持ち株会での積立」でした。
表面上では「穏やかな笑顔」で貫き通しましたが
会心の解説ができた気になっていたので、内心「おぅ?!恥ぅっ」です。
いま思い出しても顔が赤くなりますが気を取り直しまして
簡単に特徴をおさらいします。
(企業型確定拠出年金)
(企業型確定拠出年金制度の概要)
1. 企業が掛金を毎月従業員の年金口座に積み立て(拠出)してくれる
2. 従業員自らが年金資産の運用を行う
3. 運用成績によって将来受け取れる退職金・年金が変動する
(企業型確定拠出年金制度3つの税制優遇措置)
①マッチング拠出による掛金に対しては、全額所得控除になります。
②運用したときの運用益が非課税になります。
③受け取るとき、退職所得控除、公的年金等控除の対象になります。
(マッチング拠出)
マッチング拠出は、企業型確定拠出年金制度において企業が拠出する掛金に従業員自身
が掛金を上乗せするものです。
マッチング拠出の掛金については上限があり、
(1)従業員が拠出する掛金の金額が、企業が拠出する掛金の金額を超えないこと
(2)企業が拠出する掛金と、従業員が拠出する掛金の合計額が、掛金の拠出限度額を
超えないこと
という2つの要件を満たす金額となっています。
※マッチング拠出の制度を採用していない企業もありますので確認が必要です。
(従業員持ち株会)
従業員持株制度とは、奨励金の支給や株式取得資金の貸し付けなどの便宜を与え、従業
員が会社の自社株を取得することを奨励する社内的な制度です。
(従業員持ち株会の概要)
給与・賞与から定額ずつ天引き
継続的に株式を購入
(従業員持ち株会のメリット)
奨励金を付与
最低売買単位をきにしなくてよい
【反省】
自社株式については、2020年3月の安値からの直近高値で考えると+98.5%ですからその
インパクトが強すぎたのだと思います。
自社に限ったことではなく、世界の株式市場でも同様のことが起こっているんですが、
それはそれとして、ですね。
そうすると、良い部分にだけ目がいくのですね。
まだまだ株価は上がる!⇒早く始めないと乗り遅れる!!⇒5%の奨励金もつく
し!!!
比較的、確かなことは、5%の奨励金だけなんですが、そう考えちゃうんですよね。
あくまでも、どういう投資で資産形成をするのかは人それぞれであり、正解はないと思
います。
ただ、今回の件では自分が伝えたかったことが伝わらなかったことが悔しいですね。
まだまだ、まだまだ勉強します。