職場の方から企業型確定拠出年金の質問を受けることがありますが、運用はまったく興
味がないケースが多いですね。
良くも悪くもほったらかしといいますか、苦手意識が強く、アレルギー反応のような拒
否姿勢を示す人も多いです。
制度の特徴を充分に活かすために、基礎の重要なポイントだけでも理解しておいた方が
良いので、まとめてみます。
出口戦略とは
すこし丁寧におさらいしていきましょう。
出口戦略とは、資産形成期~資産運用期を経て、資産取崩期にどういう取り崩し方をし
ていくかという戦略です。
出口戦略については正解がありません。それぞれのスタイルや全体の資産状況をふまえ
て総合的に判断する必要があります。
代表的な切り崩し方法に、「定率切り崩し」と「定額切り崩し」があります。
「定率切り崩し」とは、資産に対して「〇%」というように、資産に一定割合を乗じた
金額を切り崩していく手法です。
一方「定額切り崩し」とは、「毎月〇万円」など一定の金額を資産から切り崩していく
手法です。
形成した資産をできるだけ長く維持したいと考えるなら、「定率切り崩し」が良いとい
われています。
「定額切り崩し」だと、資産の時価が下がったとしても、切り崩す金額は一定です。
そのため、資産の減少を推し進めることになります。
「定率切り崩し」なら、資産の時価が下がった時は、切り崩す金額が少なくなります。
「定率切り崩し」の、資産の時価が下がった時の切り崩し額で必要額が賄えるかどうか
がポイントになってきます。
企業型確定拠出年金での出口戦略
ライフプランを検討して受け取り時期を設定する場合は、その一定期間前に投資資金を
預金などの安全性の高い資産にシフトすることが重要です。
具体的には、50代の後半になったら、リスク資産を利益確定して安全資産にしておくと
いうことです。
基本的には、会社からの拠出積み立ては定年退職時にストップされます。
受け取りは法改正により2022年4月以降は60~75歳の間で任意に決められます
受け取り方法には、基本的に「年金」か「一時金」の選択肢があります
受け取り方による課税の違い
年金で受け取る場合の雑所得は、公的年金等と同じように以下の計算式で計算されま
す。
一時金で受け取る場合の退職所得は、以下の計算式によって計算します。
(退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2)
退職所得控除の金額は、勤続年数(年数の端数は1年に切り上げて計算)が長いほど控除額
も大きくなります。
私たちのほとんどの場合は一時金で受け取った方が公的年金等よりも控除額が大きいた
め、手取りが多く残ります。
しかし、退職金や確定拠出年金、公的年金を受け取る時期が違えばどちらが有利になる
のかが変わってくる場合があります。
受け取り時期を決めたら、受け取り方法も検討しましょう。
注意点
また、退職所得控除の見直しも検討されています。
短期退職手当等に係る退職所得の金額の計算方法
退職所得は、雇用主から支給を受けるという点で給与所得と同じですが、長年の勤務に
対する給与の一括後払いであることや退職後の生活資金の原資であるため、
他の所得とは分離して累進性を軽減する課税方法が採られています。
近年、その仕組みを利用し、短期間の勤務で給料の代わりに退職金を受け取ることで租
税を回避するという例が報告されています。
働き方に中立な退職一時金への課税
現行の退職一時金に対する課税では、勤続年数が20 年を超えた部分に対し優遇された
控除を受けることができる。そのため転職の有無により税負担が変わる可能性があり、
働き方に中立でない面がある。
いずれにせよ、制度が永久に保障されることはなく、時代背景を反映させて改正される
ものです。
当然、助かるひともいる反面、打撃を受ける人もでてきます。
私の意見
企業型確定拠出年金の質問を受けた方には、出口戦略に不安を持つ方は多いです。
どうしたらよいかわらない、何が分からないのか分からない。という状態のまま、ほっ
たらかしになるんですね。
誰にでも、あてはまる正解はありませんが情報を得て知識を増やすことは大切ですね。
あくまでも、自分の人生・自分の資産です。資産形成を楽しみましょう!