【2021.7.14.初投稿】【2022.4.4.更新】
「人生100年時代」というと何を思い浮かべますか?
「健康」「資金」が多いのではないでしょうか。
つまり『老後の不安』ですよね。
今回は良くも悪くも世間に影響を与えた「老後2,000万円不足問題」について
ご紹介していきます。
「老後資金2,000万円不足問題」とは?
2019年に「老後2000万円問題」というのがあったことを覚えていますか?
当時、マスメディアが大きく取り上げ話題になりました。
私の周囲でも短い期間でしたが話題になっていました。
騒動のきっかけになったのは『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会
における資産形成・管理」』という報告書です。
しかし、世間では報告書の内容については否定的な意見が多かったようです。
「老後不安をあおる」ことは問題ですが「2000万円問題などというものは存在しない」
という主張にただ安心するのも早計ですよね。
そこで、3つのポイントを通じて重要なメッセージを読み解きましょう。
「老後資金2,000万円不足問題」の3つのポイント
「高齢社会における資産形成・管理」より
「老後資金2,000万円不足問題」のポイントとしては
【収入・支出の状況 平均的収入・支出】
【長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要】
【ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々 】
の3つのポイントです。
順番に見ていきます。
1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)
(2)収入・支出の状況
ア.平均的収入・支出
(P.8~P.10)より
高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。
(出典)第21回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料
この箇所がクローズアップされて、否定的な意見が多かった部分です。
俗に言う「2,000万円不足問題」ですね。
否定的な意見として「この不足額の計算はおかしい」「夫婦ともに完全に無職?」「赤
字額がずっとつづくのか?」などなど。
しかし、あくまでも「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると」という表現になってい
ます。
大切なことは、「平均的な収入・支出で老後資金は不足する」ということです。
2.基本的な視点及び考え方
(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要
(P.21)より
前述のとおり、夫 65 歳以上、妻60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300 万円~2,000 万円になる。
この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。
当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。
重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。
それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。
まず、「不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる」
と明記されています。
それに続く「これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要
となり」という部分が重要な考え方です。
直感で感じ取りやすいシンプルな考え方として素直に受け止められますよね。
そして、「長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考
えられる。」ですね。
ここが最も大切なメッセージ「資産寿命を延ばす」です。
つまり、ここで資産形成が重要なんだという方向性が示されたのです。
続く「老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になる
か、考えてみることである。」
これは、ライフプランニング・ファイナンシャルプランニングをしましょう。というこ
とです。
さらに後段では現役期とリタイヤ期での資産形成・資産管理の留意するポイントの違い
にふれています。
「現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成」とは非課税制度
として有利なiDeCo・つみたてNISAが想定されます。
「リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金
などを踏まえて後の資産管理」とは資産寿命を長持ちさせる取り崩し方が基本になりま
す。
2.基本的な視点及び考え方
(2)ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々 より
(P.24)より
このようにライフスタイルが多様化する中では、個々人のニーズは様々であり、大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め上げ、退職後は退職金と年金で収入を賄い、三世帯同居で老後生活を営む、というこれまでの標準的なライフプランというものは多くの者にとって今後はほとんどあてはまらないかもしれない。今後は自らがどのようなライフプランを想定するのか、そのライフプランに伴う収支や資産はどの程度になるのか、個々人は自分自身の状況を「見える化」した上で対応を考えていく必要があるといえる。
この「これまでの標準的なライフプランというものは多くの者にとって今後はほとんど
あてはまらないかもしれない。」という部分は個人ごとのライフプランニングが必須な
時代だということです。
続いて「自らがどのようなライフプランを想定するのか、そのライフプランに伴う収支
や資産はどの程度になるのか、」という部分はファイナンシャルプランニングが重要と
いうことです。
「老後資金2,000万円不足問題」の解決策
結論として、
一人一人がライフプランニングを行い、
ファイナンシャルプランニングに取り組もうということです。
「人生100年時代」においては、標準モデルというものに縋るのではなく、個別の多様
なプランニングが必要なのです。
そこでは「資産形成」という考え方がとても大切になってきます。
一緒に「人生100年時代の資産形成」に挑戦しましょう!!