以前、ご紹介した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』と同じくリーマンショックを描
いた映画です。
こちらは、銀行側、リーマンブラザーズ側からの視点になっています。
視点が変わるとイメージ・雰囲気も随分変わります。
多面的な観察が大切だということが実感できます。
こちらも、ぜひ一度ごらん頂きたい映画です。
※内容に触れています!「ネタバレ注意」です!!
こちらから、AmazonPrime Videoで事前にご覧下さい。
【あらすじ】
リーマン・ブラザーズが経営破綻を迎える直前の4日間、2008年9月12日から15日にか
けての出来事を描いています。
月曜の朝に株式市場が取引を開始すれば、前代未聞の倒産が決まってしまう。
以降、主要人物の葛藤を描きながら場面転換を繰り返し、未曾有の金融災害を前に人々
が慌てふためく様子が描かれています。
【主要登場人物】
(リーマン・ブラザーズCEO、リチャード・ファルド)
過去にはアジア通貨危機を切り抜けた実績を持ち、業界では「ゴリラ」の異名で呼ばれ
ている。
(財務長官ヘンリー・ポールソン)
終始一貫、政府による公的資金援助をきっぱりと否定。苦悩を抱えながらも冷静。
冷静・強気を装いながらも現実を前に弱気に。
(バンク・オブ・アメリカCEO、ケン・ルイス)
強気一辺倒。二束三文での買収狙い。
(顧問弁護士ハーヴィー・ミラー)
リーマンを救済しない訳がないという関係者の意識をあらわしている。
【みどころ】
ウォール街のトップたちを連邦準備銀行に招聘しリーマン・ブラザーズへの救済策を考
える
⇒まとまらず、各首脳は自己保身の駆け引き。
リーマン・ブラザーズCEO、リチャード・ファルドが電話をかけまくる
⇒冷たくあしらわれ、出てもらうことすらできない。
メリルリンチCEO、ジョン・セインとバンク・オブ・アメリカCEO、ケン・ルイスの面
談
⇒駆け引きにならない不利を悟り、自己保身へ。
バークレイズが交渉のテーブルに着いた時バークレイズの承認手続きが間に合わないと
分かった時
⇒不安定な光明にしがみつき、安堵し、喜び、そして奈落の底へ。
世論を背景にした政治的思惑に対して、どうせ政府からの支援が入るだろうという身勝
手な願望が最後まで拭えません。
規模が、歴史が、仲間意識が、2日間ぐらいは、という判断の鈍さに繋がります。
プライドが邪魔をする。「リーマン・ブラザーズだぞ?俺だぞ?」という意識が最後の
最後まで捨てられなかった。
こういった「思い込み」が、打つ手の遅さ、甘さの根本にあるんですね。
ギリギリの状況であることは熟知した上で、甘い現状認識、駆け引きを繰り返し、自己
保身を最後の砦に交渉する。
こういう組織の論理、利己主義というのは他人事ではないなと強く感じました。
【感想】
2022年現在、世界は新たな危機に直面しています。
原因は異なりますが、財政・金融政策のあり方が問われている点では同じですね。
今までの「価値観」での絶対的強者であった企業がこれからもそうだとは限らず、
それは「生活者」である私たちの「働き方」「生き方」に大きく影響します。
本質的な「謙虚さと貪欲さ」が必要だと感じました。