投資においては、普通の人が普通の判断で取引すると必ず負ける」と言われます。
これは特に短中期での取引の場合ですが、心理戦の要素が強いためです。
行動経済学でいわれる各理論は「なるほど」と思わされます。
まだ記憶に新しい「ゲームストップ騒動」と、よく組織論で聞く「村の祭り酒」から考
えてみます。
「ゲームストップ騒動」とは
個人投資家がSNS(交流サイト)を通じて「団結」し、ゲームストップ株に一斉に買い
を入れました。
空売りヘッジファンドに買い戻しを迫り、株価を押し上げる「ショートスクイーズ」が
狙いだったとされています。
さらに騒動のさなかにスマホ証券「ロビンフッド」が取引を一時的に制限し、個人の反
発を招きました。
最終的には米議会が当事者や識者を呼んで公聴会を開く事態に発展しました。
ちなみに、同銘柄を売買する個人の口座数は、月初は1万未満だったが、一時90万近く
まで増えたそうです。
ゲームストップ株急騰の背景について分析によると
「ショートスクイーズ」による買いが株価急騰を招いたとの指摘は多かったが
全体の買いに占める空売りの買い戻しの割合は少なく、個人による熱狂的な買いが原動
力だったと結論づけた。
個人投資家が結束してヘッジファンドを打ち負かしたという伝えられ方をよく見かけま
した。確かに、安い株価で買った投資家には大きな利益を得たのかもしれませんが
1万から90万まで増加した個人投資家の後半参加組みはどうだったのでしょうか?
「村の祭り酒」とは
昔々地方のある貧しい村では、毎年実りの秋を迎えると盛大に収穫祭を祝うのが伝統で
した。
娯楽もない時代の貧しい村ですから村人は老若男女みんながこの日を心待ちにしていま
す。
そんなこの村の祭りには古くから伝承される「儀式」がありました。
大きな樽酒を小槌で一斉に割ってみんなで盛大な乾杯をして祭りを始めるのです。
しかし、ある年に農作物の不作が理由で酒樽を買うお金がないという深刻な問題が起こ
りました。
村人たちみんなで話し合った結果「みんなの家にあるお酒を一人一杯分づつ持ち寄ろ
う」
ということになりました。
そうして今年も村の伝統を守って祭りができます。
祭りの当日、酒樽には、村人たちが持ち寄ったお酒がなみなみと準備されました。
見事な鏡割りが行われ、盛大な乾杯をして、祭りが始まろうとした、その時です。
皆が怪訝な様子で顔を見合わせています。
そしてある男が叫びます。「水じゃねえか!」
樽に盛られた酒はすべてが水でした。
お酒が一滴も入っていない水だったのです。
村人たちはお互いの顔を見つめ合います。
フリーランチはないんだと知って、みんながフリーライダーになろうとしてしまったと
いうことでしょうか。
この話、組織の中では、ひとりひとりの努力が重要となるんですが、個人投資家として
はどうでしょうか?
決意
私たちには、まだ狩猟時代からの本能が残されているといわれます。
教育を受け、経験をし、情報を比較検討して、投資に臨んでいる方は、どれぐらいいる
でしょうか?
やはり、個人投資家の多くは「感覚で」「雰囲気で」「なんとなく」投資をしていま
す。
そういう現状を自覚して、毎日、緊張感をもって投資に臨もうと決意しています。