人生100年時代の資産形成について考える

人生100年時代の資産形成について考える

「人生100年時代」のライフスタイルの可能性を追い求めています。

中高年からの老後リスク(健康・資産)への備え

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「最近、時間が過ぎるのが早くなったなあ」とか「とうとうアラフィフか・・・」なん

て気付けば中高年なんですよね。日々、忙殺されてゆっくり考える余裕もない世代でも

ありますが、老後リスクの準備に取り掛かるべき時期でもあります。

「健康」「資産」の老後リスクについて説明していきます。

 

 


中高年からの老後リスクへの備え

 

「老後2,000万円問題」はいまだに話題になりますが、もう一度整理しておきます。

2017年の高齢夫婦無職世帯2人の平均収支では、毎月5.5万円(30年間で2,000万円)不

足するというケースでした。

賛否両論ありますが、根拠が無いとか、人によって違うというのは充分に理解した上で

これだけ、国民の意識を老後資金に向けたという功績だけでも素晴らしいと思います。

 

老後のリスクとして備えなければならない問題点は大きく2つにわけられます。

報告書の中でも何度も触れられている「健康寿命」と「資産寿命」です。

この2つは別々に独立しているわけではなく、密接に絡み合った問題です。

中高年からは特にバランスよくメンテナンスしていくことが重要です。

 

また、夫婦世帯に比べて、単身世帯(シングル)の場合は少し早めに準備を始めたいと

ころです。「資産寿命」だけを考えると、ただ単純にシングルだから、あんなに必要な

い。となりがちですが逆に、シングルであるがゆえに必要な手続き・費用について考慮

しないといけません。

 

そこで今回は老後リスクとして備えておきたいことについて説明していきます。

 

 

 

家族のカタチの推移

 

生涯未婚率という言葉はご存知ですか?50歳になった時点で一度も結婚をしたことがな

い人間の割合を意味する言葉です。

どういう計算の仕方をするのかというと、

生涯未婚率=((「45-49歳の未婚者数」÷(「45-49歳総数」-「45-49歳配偶関係不詳

数」)+「50-54歳の未婚者数」÷(「50-54歳総数」-「50-54歳配偶関係不詳数」))÷2

最近では、50歳時未婚率という表現に変わったらしいです。

(50歳以降で初婚が決してないとはいえないという事実もふまえ、呼び方が、生涯未婚

率から50歳時未婚率と変更になったようです。)

直近のデータとしては、2020年の生涯未婚率(外国籍者を含む総数による)は、

男25.7%、女16.4%

男性の4人に1人、女性の6人に1人は生涯未婚となりました。

2030年には男性の3人に1人、女性の4人に1人が生涯未婚者になるといわれています。

ということは、多くの人が老後に起こりうるリスクについて自分ひとりで対応しておか

ないといけないということです。

シングルの方でなくても、配偶者に先立たれ、子供に迷惑を掛けたくないと思えば必要

なので準備しておくことが望ましいですね。

 

 

 

健康寿命に関して】

 

身元保証サービス

 

ひとり暮らしで一番心細いのは、突然、体調が悪くなったり、事故に遭ったような場合

ですね。

一般的には、入院や介護施設への入所の際には、身元保証人を求められます。

最近では、身元保証サービスが増えています。

利用しなければならなくなる前に確認しておきたいのは

・サービス提供側の体制  組織形態・サポート範囲・資格保有者など

・サービスの対価  入会金・年会費・預託金の設定金額。倒産廃業時の保障内容など

 

見守り契約

 

ひとり暮らしは、体調悪化や判断能力の低下を周りの人が気づきにくいため、気がつい

たときには手遅れになっている恐れがあります。

セキュリティ会社などが手掛ける、センサーやカメラで異常を感知して親族に通知した

り、携帯型の無線式非常ボタンなどを利用した緊急通報や安否確認サービスもありま

す。また、アプリやIOTを活用したサービスも進化しており定着しつつあります。

 

この2点に関しては、本当に重要ですよ。

ぜひ中年世代から検討だけでもしておいて下さい。

私自身も経験していますし、会社の同僚でも単身赴任先で突然死したケースがありまし

た。また、一命は取り留めたものの障害が残る寸前だったケースもあります。

また、夜に階段から転落してしまい、脊椎損傷で身動きがとれなくて翌朝の通行人に発

見されるまで苦しんでいたケース。

台所で調理中に発作で転倒して大やけどを負ったケース。

枚挙にいとまがありません。

 

 

【資産寿命に関して】

 

財産管理

 

預貯金の入出金や支払いなどの財産管理については、

身体能力が低下した場合と、判断能力が低下した場合の2パターンがあります。

 

(身体能力の低下に備える)


「財産管理委任契約」


加齢・病気・怪我による足腰や視力の衰えにより、銀行へ行くのも難しくなっても、毎

回毎回、近所の人や友達に頼むわけにもいきません。

こういった日常的なお金の管理を継続的に頼みたい場合は、信頼できる第三者と「財産

管理委任契約」を結ぶ方法があります。

自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える

人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するものです

財産管理だけでなく、病院や介護施設への入退所手続き、福祉サービスの申し込み手続

きなども委任でき、入院中のお金の管理や、市役所での戸籍謄本の取得など、一部に限

定することも可能です。

あくまでも本人の意思により事務手続きを行うため、本人の判断能力が十分ある場合で

しか利用できません。

 


(判断能力の低下に備える)


「日常生活自立支援事業」


判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基

づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。

将来、認知症などにより判断能力が不十分になった場合に「自立支援事業」を利用すれ

ば、福祉サービスの利用や日常生活費の管理などを支援してもらえます。

ただし、高額な財産の管理や、不動産の売却など非日常的な取引は頼めません。

そのような場合は、成年後見制度を利用することになります。

 


(補足) 「法定後見制度」と「任意後見制度」


成年後見制度は、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。

何の準備もしないまま判断能力が低下してしまった場合は、周りの人が裁判所に後見人

の選任を申し立てて、後見人が財産管理を行う「法定後見制度」を利用します。

この場合、弁護士など本人や家族のことを知らない人が財産管理を行う可能性が高く、

あくまでも本人の財産保護が目的であるため、

高額な介護施設を利用したいなど本人の希望が叶えられない可能性があります。

また、後見人や後見監督人に対して月額数万円の報酬がかかることに留意が必要です。

 

一方、まだ十分判断能力があるうちに、信頼できる人に将来後見人になってもらうよう

に契約するのが、「任意後見制度」です。

この場合は、任意後見契約書を作成し、将来、判断能力が低下したときに、受任者や周

りの人が裁判所に後見人の選任を申し立てることになります。

この場合、将来、自分のことをよく知っている人が財産管理を行ってくれる上、介護施

設への入所費用が必要になったときは

特定の資産を処分して費用を捻出してもらうなどの希望が叶えられやすくなります。

 

任意後見契約は、前述した「財産管理委任契約書」と一緒に公正証書で作成されるケー

スが多く、これを「移行型」といいます。

この契約により、判断能力が十分ある間と、判断能力が低下した後の財産管理などを、

信頼できる同じ人にお願いしやすくなり、切れ目ないサポートが可能になります。

なお、法定後見・任意後見とも、財産管理だけでなく、「身上監護」といって、病院や

介護施設への入所手続きや、介護保険の要介護認定の申請なども行えます。

 

 

【死後に関して】

 

死後手続きの委任

 

死後のさまざまな事務手続き(葬儀、納骨、埋葬に関する事務や賃貸借契約の解約、未

払い費用の支払い)をする人をあらかじめ定めておかなければ、

死後、大家さんや遠い親戚など、周りの人に迷惑をかける恐れがあります。

 

・死後事務委任契約


本人が第三者に、死後の事務手続きを委任する契約です。

弁護士・NPO法人・金融機関など多くの事業者がサービスを提供しています。

契約前に、事業者の経営状況・サービス内容・預託金の取り扱いなどを確認しましょ

う。

 

・遺言の執行


全く身寄りがない場合は死後、財産は国庫に入ります。

親兄弟・血族がいる場合は相続順位にそって相続します。

また、遺言書を作成することで、友人やお世話になった方に財産を残すこともできま

す。この場合、あらかじめ弁護士などに遺言執行者になることの承諾を得て遺言書に記

載、保管して、執行してもらいます。

また、「公正証書遺言以外の形式の遺言は、原則としてお預かりできないこと」のよう

な、ある程度の制限はあるものの、信託銀行等の遺言信託という方法もあります。

 

 

今回の記事で紹介した制度は、いずれも、まだ判断能力が十分あるうちに、余裕をもっ

て検討する必要があります。

中高年世代では、まだまだ日々の生活に忙殺されていますが「健康寿命」「資産寿命」

のメンテナンスと並行して準備を始めましょう。