人生100年時代の資産形成について考える

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「人生100年時代」のライフスタイルの可能性を追い求めています。

エルサルバドルの法定通貨、ビットコイン

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【2021.10.6.初投稿】【2021.11.24.更新】

 

資産形成においても資産運用においても注目度の高い暗号資産、ビットコインですが

中米エルサルバドルで、ビットコイン法定通貨となったことに世界が注目していま

す。2021/11/23最新の記事が出ていますのでご紹介します。

 

中米エルサルバドルでは、2021年9月7日からビットコイン法定通貨となりました。

国内外から批判的な意見が多いようですが「通貨」としてと「テクノロジー」としての

観点から考えてみます。

 


まず、エルサルバドル法定通貨について、おさらいします。

2001年に自国通貨コロンを放棄し、物価安定策としてドルを法定通貨にしました。

そして、2021年9月7日からビットコイン法定通貨となりました。

現在は、ドルとビットコイン、2つの法定通貨が併存する異例の体制となっています。

 

次に、通貨について、おさらいします。

お金には主に3つの性質があります。

1. 物と交換できる性質:決済手段

2. 価値を蓄えることができる性質:価値保蔵

3. 物の価値を決めることができるという性質:価値尺度

簡単に表現すると、

すべての人にとって貨幣として認められ、他の人の所に持ってゆけば一定の有用性、使

用価値を持ったどのような財とも交換可能ということです。


では、記事をご紹介します。

エルサルバドルビットコイン法定通貨にすべきでない=IMF

jp.reuters.com

国際通貨基金IMF)は22日、エルサルバドルに対する2021年の4条協議(経済審査)の結果を発表し、「ビットコイン法定通貨として使用すべきでない」との見解を示した。

 

IMFは「ビットコイン相場の振れ幅の大きさを踏まえると、法定通貨としての使用により、消費者保護や金融の安定性に大きなリスクが生じ、(国家)財政に偶発債務も発生する」と指摘。

 

その上で「ビットコイン関連法の射程を狭め、新たな決済システムに対する規制と監督を強化するよう推奨する」と述べた。

 

エルサルバドルのブケレ大統領は2日前、ビットコイン建ての国債を発行して資金を調達し、世界初の「ビットコイン・シティ」を建設する計画を表明したばかり。

 

 

 

ご指摘の通りだと思うんです。

通貨の3つの性質のうち、どう贔屓目に考えても「価値保蔵」、「価値尺度」という機

能に支障をきたす可能性が高いですよね。

 

 

 


アングル:エルサルのビットコイン「実験」、国内の格差映し出す

jp.reuters.com

エルサルバドルの首都・サンサルバドル。ベルティラ・ガルシアさん(65)は40年も前からこの街の一角に露店を構え、菓子を売ってきた。
国は9月、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン法定通貨にしたが、ガルシアさんは現金以外で代金を受け取ったことはないし、今後もそのつもりは一切ない。

 

 

「さっぱり分からない」と語るガルシアさん。9月7日に新法が施行されて以来、客からビットコインで支払いたいと言われたことはないという。

 

首都で長年にわたって商売をしている人が乗り気ではなく、また来店客からも要望はな

いという様子から、周知されていないようです。

通貨として「物と交換できる性質」が備わっていないということになります。

 

スマートフォンを持っていないガルシアさんは、政府が導入した電子財布「CHIVO(チボ)」をダウンロードすることが、そもそもできない。

 

 

 

前提条件のスマートフォン保有比率の見通しが甘かったようです。

FinTech(フィンテック)が世界中に普及して浸透していく経過を考えてみると

2007年のiPhone発売以降のスマートフォンの爆発的な普及は、多くの人々が、インター

ネットにつながった高性能コンピューターを持つという状況を実現しました。

これがFinTech(フィンテック)が日常生活に深く浸透していく下地になったということ

は間違いありません。

金融とICTとの組み合わせによって成り立っているFinTech(フィンテック)において、

テクノロジーは欠かせない要素だからです。

 

ブケレ氏は、ビットコイン法定通貨化によって国民は送金手数料を年間約4億ドル節約できると説明する。
しかし、専門家はデータ保護やビットコイン相場の急変動などの点に懸念があると指摘。特に高齢者が、置き去りにされる恐れがあると分析している。

 

 

 

太平洋に面した海岸沿いの地域では、約3年前から観光客のほか、レストランやホテルの若いオーナーがビットコインを使っている。
サーフィンの街、エル・ゾンテは「ビットコイン・ビーチ」として知られ、「ビットコイン受け付けます」のデジタル表示が見られる。

 

送金手数料を節約できるメリットと相場の急変動による損失のデメリットがあるという

ことですが、デメリットが大きいですね。

GDPの25%にもなる、出稼ぎのために外国に住む国民からの送金も大きいですが、

そもそもの通貨としての問題です。

節約分を軽く吹き飛ばすような急変動があるようなら、「価値を蓄えることができる性

質」を満たせているとは言えないのではないでしょうか。

 

事実、エルサルバドルビットコイン法定通貨とした、9月7日に急落しています。

ビットコイン」が7日、2割近くも急落し、この日世界で初めて法定通貨として導入し

た中米エルサルバドル国内や市場関係者に動揺が広がっている。

米東部時間の7日朝、1コインあたり5万ドル(約550万円)ほどで推移していたが、午前

11時すぎに4万3千ドル台まで急落。

 

一方で、観光客やホテルの若いオーナーのような、富裕層の利便性は向上しているよう

です。

 


ブケレ大統領は、ビットコインの採用によって米ドルへの依存が減り、銀行口座を持っていない人々も金融サービスにアクセスしやすくなって、経済の発展につながると訴えてきた。

 

世界銀行によると、エルサルバドル国民の半分はインターネットにつながっていない。
貧困層スマホを持たない人々、デジタルに疎い人々が、ビットコインに飛びつくのも難しい。

 

経済政策として、米ドルへの依存が減り、銀行口座を持っていない人々も金融サービス

にアクセスしやすくなるという目的ですが

前提条件である、テクノロジーの普及状況が崩れています。インターネットの接続比

率、スマートフォン保有比率の見通しが甘かったようです。

 

北東部モラサン県の農村部に住むイスラエルマルケスさん(53)は、米国に住む兄弟や友人から年に数回、100ドルの送金があるが、ビットコインを試すのは気が進まない。
「チボをダウンロードして(給付金の)30ドルだけ使い、あとはチボをお払い箱にするという人々もいるが、自分はそれさえしたくない」という。

 

セントラル・アメリカン大学が今年8月に1281人を対象にした調査では、エルサルバドル国民の間でビットコインへの不信感が強いことが示された。
10人中9人はビットコインを明確に理解していないと答え、8人は利用に際して「信用できない」、もしくは「ほとんど信用できない」とした。

 

記事の冒頭で登場された、首都で長年にわたって商売をしている人もそうでしたが、

「理解できない」、「信用できない」ということです。

つまり、「すべての人にとって貨幣として認められ、他の人の所に持ってゆけば一定の

有用性、使用価値を持ったどのような財とも交換可能」ではないということです。

 

 

私の意見

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暗号資産に使われているテクノロジーは画期的で将来性が見込まれています。

すべての人が金融サービスを利用できるようにする「金融包摂」は、貧困の削減や所得

格差の是正にも重要だとされ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」でも掲げられて

います。

しかし、「通貨」としてと「テクノロジー」としての観点をバランス良く目配りしなが

ら進めていくことが重要です。

私たちの資産形成においても大切にしたいですね。