「物価目標2%達成」というよく見るよく聞くフレーズですが、私たち生活者にとって
良い影響になるのか悪い影響になるのか。2つの記事を読んでいて思うところがありま
した。あくまでも生活者としての感覚で振返りながら考えてみます。
所得増えぬまま物価目標2%達成なら、消費者から悲鳴か
デフレ脱却と持続的な経済成長を目指した2013年1月の「政府・日本銀行の共同声明(アコード)」において、日銀が2%の物価安定目標を提示してから8年以上が経過した。共同声明後に就任した黒田東彦日銀総裁は、この目標を2年間で達成すると宣言していたが、いまだ達成する気配がない。
<消費者にとっての2%目標>
金融政策の「のりしろ」のためであれ、円高阻止のためであれ、所得が増えない日本の消費者にとって2%の物価上昇は起こってほしくないことだ。
日本の消費者は、物価が上がらないので、所得の伸び悩みを我慢しているが、万が一2%も物価が上がったらとても我慢できない。
こうした見方に対して、黒田総裁は、賃金が上昇せずに物価だけが上昇することは普通には起こらないことであり、価格の上昇により企業の売り上げが伸びて収益が増加すれば、それに見合って賃金は増加すると、講演で述べている。
「2%の物価安定目標」というのは、世界の中央銀行が目安にするグローバルスタンダ
ードなんですね。ですので、現実的にはほど遠いとは言っても、国際的な目線も考慮し
た目標ということです。もちろん、国際競争力を失い、信任も失った国家を望んでいる
訳はないのですが、目の前の生活も大切です。
平均的な生活者にとって、「物価上昇⇒企業収益向上⇒賃金増加」というモデルが素直
に受け入れがたい状況が長く続いているのも事実です。
アベノミクス景気といわれても、まったく実感なかったです。
私の生活範囲に好景気はなかったです。
気が付けば物価上昇の足音、日本企業に価格転嫁の兆し
確かに、川上の物価上昇に直面しても川下には転嫁しないという日本企業の行動様式はかなり根強く、物価の上昇を阻んでいることは間違いない。
しかし、川上の原材料価格の高騰が激しければ、少しは川下に転嫁されてくる。<増えない所得、価格転嫁の障害に>
日本では、川上の原材料価格が上がり、国内企業物価が上がっても、川下の消費者物価には転嫁されにくい。
所得が増えない日本で価格転嫁しようものなら消費者の反発は大きく、収益の悪化が避けられないからだ。
値上げをするよりは、コストを削減し、利益を削ってでも価格転嫁を避けるというのが、日本では合理的な企業行動となる。
デフレが続いているから価格転嫁できないのではなく、日本では所得が増えないから価格転嫁したくてもできない。
結果として物価が上がらず、デフレが続くと考えた方がよさそうだ。
この記事については、実感たっぷりです。企業人としても生活者としても。
勤務先でも長らくの間、重要テーマになっています。「価格交渉・コスト削減による収
益改善」原材料価格の高騰、物流費の高騰、取引先からの要望。利益圧迫要因しかあり
ません。そこで、「人件費の削減」がでてきます。「残業・休日出勤を減らせ!」「賞
与を当たり前と思うな!」です。
ここなんですよね。目の前の収入が減り、不安定な先行きを抱えた状態で、全力で収益
改善に取り組めるんでしょうか?
もっとシンプルに考えれば、従業員の賃金を抑制・削減している企業が「増収」を目指
すのは矛盾していませんか?
他企業が今までよりも多く従業員に支払った賃金で、自社の製品・サービスを今までよ
りも多く購入してもらう。
しかし、自社は賃金を抑制・削減しているので、従業員の購買力は年々低下していく。
そして、財務は健全で内部留保ばっちりのキャッシュリッチ。
競争力を失い、市場からも見放された企業を望んでいる訳ではないのですが、目の前の
生活も大切です。
一方で価格転嫁には消費者が敏感であるというところから、「価格据え置きの容量減」
の実質値上げはよく見かけますね。
といいますか、食料品・日用品なんかはほぼ実質値上げしてませんか?
大手外食チェーンや大手ファーストフード店なんかも数年に1回程度の利用なので変化
にビックリします。注文を間違えたか?と思います。
私の意見
全体最適というのは重要だと理解しています。
しかし、生活者・従業員が悲壮感を抱え不安の中で生活をし続けることが、国家・企業
への貢献につながるとは考えられません。
私たち生活者である個人投資家はシンプルスリムで筋肉質な家計を練り上げることを土
台に資産形成に取り組んでいきましょう。
国家・企業に過度に依存するのではなく、自立して、豊かな生活が送れるように。
まだまだ、これからですよ!
あくまでも、自分の人生・自分の資産です。資産形成を楽しみましょう!